Alto Sax用マウスピース・Meyer 5MM
アルトサックス用のジャズ系マウスピースで人気があるマウスピース・メーカーはMeyer(メイヤー)です。
メイヤーの型番表記
5MM = 5(① Tip Opening)|M(② Chamber)|M(③ Facing Lenfth)
① Tip Opening(ティップ・オープニング)
Tip Opening No. | Size |
4 | 1.67mm |
5 | 1.75mm |
6 | 1.90mm |
7 | 2.05mm |
② Chamber(チェンバー)
- M / Medium Chamber(ミディアム・チェンバー)
- S / Small Chamber(スモール・チェンバー)
③ Facing Length(フェイシング・レングス)
- M / Medium Facing(ミディアム・フェイシング)
- S / Short Facing(ショート・フェイシング)
5MSや5SMなどの組み合わせが販売されていますが、MM以外は現実的ではありません。
G by メイヤー、リッチー・コール・モデル、記念の復刻モデルなどがありますが、普通のメイヤー5MMが素直で吹きやすいです。
特徴
バッフル形状はロールオーバー型。ストレート型に近いですが、先端部分が少しだけ高く設計されています。これによりメイヤー特徴であるスピード感が生み出されます。音の立ち上がりが速く繊細なタンギングコントロールが可能。スラー・タンギングを細かく組み合わせるアップテンポのビバップ・フレーズに相性がよく、明るい倍音でバンドに埋もれることはありません。ミディアム・フェイシング設計で下唇での倍音コントロールがスムーズです。
チェンバー、スロートの形状は、最も自然に音が広がるストレート型です。このようにマウスピース内部に広い空間があるマウスピースでないと深みのある音色は出すことができません。
マウスピースを試奏する時の注意点
どのメーカーのマウスピースもリードを合わせなければ音色や吹奏感などの性能判断ができません。試奏する時には複数のリードブランドや強度番号を準備して試奏して下さい。
Model Number | Tip Opening |
Selmer S90/170 | 1.35mm |
Yamaha 4C | 1.60mm |
Yanagisawa #4 | 1.60mm |
Meyer 5MM | 1.75mm |
楽器付属マウスピースのオープニングサイズは、メイヤーよりも狭いです。楽器付属マウスピースに合わせていたリードをそのままメイヤー5MMに使用するとリードが硬く苦しく感じてしまいます。メイヤーに吹きやすいと感じるリードを合わせて試奏しないと、このマウスピースは吹きにくいと間違った判断をしてしまいます。
メイヤーに合わせるリードは?
- Vandoren JAVA / 強度:2半、3番
- D’Addario Select Jazz / UnFiled(アンファイルド) / 強度:2Hard、3Soft、3Medium
メイヤーに合わせるリガチャーは?
リガチャーはマウスピースに付属しています。金属の質感は悪いですが、軽量なリガチャーはマウスピースとリードがよく振動します。重量系リガチャーよりも軽いリガチャーの方がマウスピースからの演奏音がモニターしやすいです。
メイヤーは何もしなくても高域の倍音が多めに付加されます。重いリガチャーや金メッキのネックなどで明るさやパワー感を強調し過ぎると、個性がぶつかり合って音色バランスが破綻します。
個人的には、セルマーの旧純正リガチャー(ネジ2本の順締め)で合わせるのが好みです。レコーディングの時に高域の倍音が強すぎる時は、Rovner(ロブナー)のリガチャーで高域の響きを抑えて重心を中低域に下げます。古い楽器と組み合わせてもメイヤーは明るい音がしますので、EQでHighを調整しないと耳障りになります。この辺りを自分好みにするのが難しいと感じています。
尊敬するサックス奏者さん達が教えてくれたのは、順締めタイプのメイヤー純正リガチャーを逆さまに(ネジが上)装着したり、横向きに装着したりすることです。リガチャーは逆締めにすると、高域の倍音が少しだけ明るく出ます。ほんの少しだけ明るく自然に調整するというのがプロの音作りだと思います。
個体差
楽器店からマウスピースや楽器選定を依頼されるのですが、メイヤーの個体差はかなりあります。新品20本ぐらいを一列に並べてみると外観(マウスピースの全長や太さ)の個体差に気付きます。
外観で音色の判断はしませんが、ティップ・オープニングのサイズやティップの形、レールの左右バランスなど同じものはありません。試奏テストするとリード選びと同じぐらいな個体差を感じます。5MMと6MMが同じぐらいな吹奏感に感じる場合もあります。
極端に内径が細い個体は要注意です。ネックコルクに差し込むと内径の太さが違うのがハッキリわかります。ネックコルクの厚さを調整しても奥まで差し込めない場合には、チューニングが上がりませんので除外します。
楽器付属マウスピース(Selmer S90, Yamaha 4C, Yanagisawa #4)は、内径が太めです。メイヤーに移行する場合には、楽器店でネックコルク調整が必要です。
Meyer 5MM or 6MM?
レッスンでよく質問されるのが「メイヤー5番と6番どちらが良いか?」
アルトサックスのレッスン受講生にどちらか一本のみと言われた場合、Meyer 5MMを推薦しています。6MMはロングトーンのコントロールに自信があれば問題ありませんが、私の場合には苦しくて難しく感じます。
吹き比べるとオープニングが広い6MMの方が音量が大きくなったような感じがしてテンションが上がりますが、5MMと6MMを客席側で聴いてもらうと音量的には同じぐらい。5MMの方が音圧感を感じます。
ロングトーンが苦しいからと柔らかすぎるリードを6MMに合わせて対策するよりは、5MMで硬いリードを合わせる方が音作りが簡単です。強めに締めた唇でオープニングを狭くして6MMを吹いているとしたら、細くて苦しそうな音色でチューニングが高くなってしまいます。
使っている方がほとんどいませんが、メイヤー4MMも結構良いです。本数が少ないのと楽器付属マウスピースとオープニングがあまり変わらない理由で除外しました。
マウスピースは型番違いを複数本揃える
5MMをメインにして、気分で6MMと交換しながら練習するが最良。響きが異なる5MMを複数本揃えるのもありです。リードの合わせ方が上達します。オープニングなど仕様の違いを理解することで音色への興味が高まります。7MMや8MMのオープニングは、さらに奏法コントロールが難しく感じますが、練習目的やマウスピースの研究として吹いてみるのは勉強になります。
いつもと違うセッティングを練習に取り入れることで、メインのマウスピースに戻した時に楽にコントロールできるように感じることができます。リード強度の考え方も同じです。
サックス初心者の場合には、指導者のアドバイスを受けながらマウスピース選びをしましょう。当教室のサックスレッスンでは、Meyer 5MM、6MM、7MMの試奏が可能です。