Neck Joint Screw
ネックジョイントスクリュー(ネック止めネジ)が折れてしまいました。ネジ類は、強く締めすぎないようにしているのですが、金属疲労は仕方がありません。(1週間前にソプラノの針バネが折れたばかり)本体に折れて残ったネジは、新たなネジ山を作ったりして取り出すのですが、自分でやるのはやめて修理工房で取り出してもらいました。15分ぐらいで取り出し完了です。
ネック止めネジの影響力は大きい
ネック止めネジ一つでも素材や重量が変えればサックスの振動が変わります。振動が変わるということは、音色が変化するということです。単純に人気のアクセサリーに交換すると劇的に反応が良くなったり音の響きが良くなるのではなくて、元々使っていた製品と比べると音の振動が変わるということです。理想としている音色は人それぞれ異なりますので、そのアクセサリーが自分の音作りに効果的かどうかは別の話です。
初心者の場合には、音色の変化が大きくハッキリしていないと音が変わったことを感じません。例えば、私にとってはメイヤー5番と6番を比べたりリガチャーを交換することはキャラクターが入れ替わるぐらいな大きな変化に感じますが、試奏しても違いがよく分からないと感じる方は多いです。
「ネジなんて変えても聞いてる人には分からない」との意見もあちこちから聞こえてくるのですが、音色の変化を感じることに慣れていないということです。僅かな音色差を組み合わせることが最終的な音色バランスに大きく影響することを、音にうるさいベテラン奏者やミックスエンジニアは心得ているのです。
ネジを選ぶ時代に乗り遅れていないか?
最初にネジで音が変わることを世の中に定着させたのは「石森管楽器」のネックジョイントスクリューだと記憶しています。(間違っていたら教えて下さい)その後、あちこちから類似製品が発売されるようになりました。今回折れてしまったのが石森管楽器の初代のネックジョイントスクリューです。
リガチャーはアクセサリーとしての関心度が高いと思うのですが、ネジにも同等の効果があります。音の変化を楽しみたい方は、複数のネジやリガチャーを組み合わせることで、ネックや管体の振動の違いをより深く理解することができるはずです。
ネックを振動させる?管体を振動させる?
- セルマー純正リガチャー + セルマー純正ネックジョイントスクリュー
- セルマー純正リガチャー + 石森ネックジョイントスクリュースクリュー
- ガッチリ系のリガチャー + セルマー純正ネックジョイントスクリュー
- ガッチリ系のリガチャー + 石森ネックジョイントスクリュー
リガチャーとネジを組み合わせるのが面白いです。①を比較の基準だと考えます。
②と③は、似たような音色傾向が出ます。①よりもネック付近と本体の振動バランス良く、吹きやすく感じます。どちらも高域の歪み感が増えます。
④リガチャーとネジを両方交換したのだから最強だろうと期待するのですが、重いリガチャーでマウスピース付近の振動を止めて、重いネジでネックジョイント付近の振動を止めると、本体側に振動が移動します。そうなると、マウスピースやネック付近の振動音が遠く小さくなって自分へのモニター音が小さくなります。口元付近の振動音が減りすぎると、苦しく反応が悪く感じます。鳴らない、響かなくなる組み合わせもあるのです。使用するマウスピースや楽器モデル等を変えて試せば違う結果が出ると思います。
このような単純な組み合わせだけでも音色が変わることを試せます。何でもかんでも金属武装して重くするとよく響くのではありません。純正品の響きが悪いなんて決めつけるのは、最悪な考え方です。反応悪くて駄目だと思いこんでいたリガチャーがネックスクリュー変えたら程よく響くようになることもあります。アクセサリーを組み合わせて重量バランスなどを変えることで音作りの幅を広げるのは面白いのです。
AUTOMAGIC
『で、AUTOMAGICはお薦めなの?』とレッスン受講生に質問されるのですが、私にはわかりません。前モデルとは音色が違うので、しばらく使ってAUTOMAGICの音に耳が慣れないと好きかどうかもわかりません。私の場合には、音色の違いに興味があるだけなので、最終的には全てセルマー純正品に戻ります。
ネジのお手入れ
リガチャーのネジとネックジョイントスクリューは、酸化や唾液などで汚れます。ネジが汚れていると振動に影響します。ネジがスムーズに回らなくなる前にクリーニングして下さい。
消毒用のエタノールをティッシュペーパーに含ませて、ネジの溝をピカピカにするだけです。ネジが真っ黒の場合には、ネジ受け側も綿棒などで掃除して下さい。