アルトサックス調整
Winds Tune Garage Hosokawaにてアルトサックスの全体調整をお願いしました。古い楽器で部品間の隙間が多いのでキーオイルを差してもすぐにノイズが出てしまいます。オクターブ・レバーの歪みやオクターブ・キーのノイズなどを修正してもらいました。調整後は、全音域滑らかで響きが増して気持ちがいいです。つっかえ気味だった低音域のレスポンスも元に戻りました。今回も納得の仕上がりでテンションが上がります!
パット(タンポ)交換
High FとLow C#、Ebのパット(タンポ)交換。交換したパットを見せていただいたのですが、トーンホールが当たる部分が破れて息漏れしていました。2番管上部のパームキーやU字管(1番管)のEb Keyは、唾液で汚れやすいのでパット交換率が高いです。特にEb Keyは、息漏れすると管全体の響きに影響する重要な場所なので、少しでも怪しい場合にはパットを新品に交換した方が確実です。
G# Key, C# Key 張り付き防止
パット張り付き防止処理は、細川さん独自の方法で処理されているとのことで、私の楽器では滅多に張り付きません。「G# Key」と「C# Key」は、レバーとキーが分かれている構造なので、レバーを押してもキーがトーンホールに張り付いて開かないことがあります。張り付いていると、テーブルキー「G# レバー」押しているのにG音が出たり「C#レバー」押しているのにC音が出てしまい、演奏ミスった感じになるのでとても困るのです。ライブ中に張り付き出したら気になって集中できません。
レッスンでは、演奏前に「C# レバー」を押して「G# Key」と「C# Key」が同時に開くことを確認するようにお伝えしていますが、張り付きがひどい場合には、リペア担当者に相談してパット交換しましょう。粉付きのパウダーペーパーで対策するのはやめましょう。一時的に効果があるかもしれませんが、パット表面が粉でザラザラになります。その上に唾液が付着すると息漏れが悪化します。
調整後
調整後は、軽めにキーを押さえるだけでパット音が楽器に共鳴します。調整前よりパット音が大きくなってキーを開閉した時の音程感がハッキリします。楽器を吹かなくても管体の共鳴が変わったことが感じられるのです。もちろん楽器を吹いた時の音色は調整前と少しだけ変わります。いつも同じ環境で音作りをしているので僅かな音の変化に神経質になってしまいますが、練習して耳が慣れてしまえば問題ありません。
初心者の場合には、調整しても何が変わったのかわからないと感じるかもしれません。楽器を練習して耳が鍛えられると、微妙な音色差や吹奏感の変化が感じられるようになります。もし劇的に変わるとしたら定期的に調整していないとか、調整前の状態がひどすぎるのかもしれません。調整は音質を良くするものではなくて、楽器本来のパフォーマンスを取り戻すものです。
調整が崩れ始める期間
調整後の演奏は気持ち良いのですが、パットは時間の経過などで膨らんだり、劣化で縮み弾力性なくなります。また何度も調整を繰り返していると接着剤(シュラッグ)が劣化してしまいます。具体的に調整が崩れ始めると感じるのは調整後2ヶ月ぐらいからです。
もちろん演奏に支障が出るような崩れ方ではありませんので、リークライトで息漏れを確認したり、Low BbやB Keyを閉じた状態でベルから光が漏れていないかを確認します。少しぐらいの息漏れであれば調整には出しませんが、気になる場合には迷わず調整に出します。
調整が崩れてくる時は、キーを押さえた時の音でわかります。エンジンや機械音で修理屋さんが調子を判断するのと似ていますね。
練習していない楽器の方が調整が崩れます
「練習量が少ないから調整はしなくてもよい」は間違いです。フィンガリング練習でキーを叩いている方が、パットが膨らまず変形しにくいからです。
新品の楽器は、コルクでパットを固定した状態で楽器店に輸送されます。コルクを外して試奏できる状態にすると、パットが膨らみ始めて調整が崩れます。サックス購入時には、再調整してから引き渡しされると思いますが、それでも新品の楽器はパットの状態が安定していませんので、楽器購入後の再調整は必要です。購入時の無料点検などを利用して調整してもらいましょう。
全タンポ交換した時も同じ。部品を交換して調整後にコルクで固定しますが、コルクを外すとパットが膨らみますので、再度調整が必要です。
最低でも一年に一回はバランス調整をして下さい。